「あらユウノこのお茶美味しいお」
「褒めていただけて嬉しいですわ。姫様。そしてお鞄、サンタクロースから貰えてよかったわね」
苦労して自分のせいではないと文句を垂れていたドクを説得し船を修理させ無事また宇宙への航海を開始したアルバトロシクス号。その船内でミコとユウノはクリスマス後初の女子会を開いていた。ユウノはミコが大事そうに抱いているバックを見てフフフと笑う。ミコリザも満面な笑みで喋った。
「うんだお! アイツはこういう時しか言う事聞いてくれないし」
「? どういう事かしら?」
ユウノは首を傾げるとミコはきょとんとした顔で返す。ミコはニィと笑い鞄を指差す。
「だーかーらーきむが買ってきたんでしょ? このバッグ」
「あら知っていましたの?」
意外、ビックリと言うとミコはふふんと胸を張った。ユウノなら知ってると思うけど、と前置きしてミコは語る。
「勿論よ。毎年私のお手紙通りに買いに行ってくれるいい奴よ。クリスマスのサンタさんは親。それ位理解してるわ」
「あらあらドクとサンタに関して同盟結んでるからてっきり」
「ドクはいい奴だお。私のこの純粋な想いに同調してくれるなんて。でもサンタは物語上の存在って位分かってるわよ。うふふっ、きむと共謀してサンタさんからプレゼントだぞーという体で毎年私にあげているんでしょ? 楽しい野郎達よね!」
「……え、えぇそうなんでしょうねえ」
扇で口元を隠し目を逸らす。ミコは構わず不敵な笑みを浮かべ普段の執事の身振りを思い出しながら話す。
「だからきむは『いねーんだ、いねーんだよ』と自分に疑いが向かないように誤魔化してるんでしょ? 分かりやすくて楽しいわ。でも今年は異様にいないぞ攻撃が激しいからきむがこっそりお金貯めてるであろう分を予想してそのギリギリの金額のものを手紙に書いてやったわ。我って本当に天才でしょ?」
どうして貴方はそういう所だけ知恵が働くのでしょうかとユウノは心の中で呟く。ミコは基本的に周りから馬鹿と言われているが決して本当に頭が悪いわけでは無い。ただちょっと頭の使い方が斜め上、所謂天才科学者だが研究以外ではポンコツな育て親とそっくりな面を持ち合わせている。血は繋がっていないが親子なのね、とユウノは虚空を見上げる。
「ふふっとにかく誕生日とこの時期だけ2人は優しいんだから精一杯我儘言ってるの。こういう時のドクはいいお父さんだしキムは素直で可愛げあるんだから一緒にいて楽しいのよ!」
「そうね、そうだったらよかったですわね……」
そう、本当に賢い親だったらよかったのに。ユウノはクリスマス前後の彼の言動を思い出すとその言葉は間違っていると言いたい。しかし言うか言わないか、脳内に設置された天秤にかけると言わない方が楽しいかもしれない。
「うふふっきむは私だけのサンタさん。さーて来年は何貰おうかしら」
「キム……合掌」